保育所の整備 国事業で前進 ▽中国地方22.3% 低下の303人 厚生労働省によると5県別の待機児童は、広島213人(前年同月比32人減)、山口12人(19人減)、岡山65人(8人減)、島根13人(28人減)。鳥取は6年連続ゼロだった。 市町別の最多は広島市の210人で、5県全体の7割を占める。総社市28人▽倉敷市21人▽岡山県早島町14人▽山口市12人▽出雲市、島根県斐川町(現出雲市)各6人▽大竹市、美作市各2人▽廿日市市、松江市各1人。 昨年は16市町に待機児童がいたが、東広島市や尾道市、広島県海田町、大田市など8市町でゼロに。大竹市と美作市、早島町の3市町で新たに発生した。 待機児童の減少は、国の2008年度補正予算で打ち出された「安心こども基金」を通じて保育所の新築、改修が進んだため。基金は都道府県が設置。国は基金に整備費を積み増してきた。5県の認可保育所数は4月1日現在、前年同月から16カ所増え、定員は2719人増の計16万3349人となった。 81億円の基金をつくった広島県は、11年度までの3年間で、保育所の新設や増改築66件に計45億円を充てた。 一方、都市部の待機児童の解消が遅れる状況は変わらない。広島市は6保育所を新設するなどして定員を1144人増としたが、待機児童は10人減にとどまった。共働き世帯や育児休暇からの早期復帰を望む親の増加を背景に3歳児未満の保育ニーズは高く、整備が追い付かないという。 ただ、基金による事業は本年度末まで。広島市保育課は「施設の新設、増設なしに待機児童解消は難しい」、広島県こども家庭課も「市町の負担が大きい施設整備に国の支援は欠かせない」と基金事業の継続を求める。 厚労省保育課は「施設をつくるだけでは子どもを預けたい親も増え、定員の拡大だけでは待機児童解消につながらない側面もある。基金事業の継続は子育てしやすい環境づくりの中で総合的に検討する」としている。(門戸隆彦)
(2011.11.2)
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