広島市内 4ヵ月で27人 ▽「身体的」が目立つ 広島市内で、親から虐待を受けた児童を市児童相談所が職権で一時保護するケースが急増している。同相談所によると、本年度は4〜7月の4カ月間で15件27人と、2008年度1年間の15件21人に並んだ。暴行など身体への虐待が目立っていることから、同相談所は周囲からの通告などの協力を呼び掛けている。 児童福祉法に基づく職権での一時保護は、虐待の通告を受けた同相談所が児童の安全確保や治療のために緊急性があると判断した場合、親の同意がなくても保護することができる。同相談所が統計を取り始めた06年度以降、本年度はピークだった07年度の29件33人に迫るペースだ。 同相談所によると、07年度までは保護した児童の約半数がネグレクト(子育ての怠慢・拒否)だったが、08年度から暴行などの身体的虐待が目立ち始めているという。本年度、保護した児童の約9割にあたる13件24人も身体的虐待を受けたか、その疑いが極めて強いケースだったという。保護した被害児童は、未就学児や小学校低学年までがほとんどだった。 8月には生後5カ月の長男の頭を殴って頭の骨を折るなどの重傷を負わせたとして、父親(33)が殺人未遂の疑いで逮捕される事件も起きた。 同相談所の磯辺省三所長は「継続して、たたかれたあとやけがの程度がひどい児童も少なくない」と指摘。「親の失業や収入の減少が影響している例もあった。通告があって虐待が分かる例がほとんどなので、周囲が不審な点に気付いた場合、相談してほしい」と話している。(鴻池尚) (2009.8.20)
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