福山こども家庭センター調査 昨年度293件 広島県東部の児童虐待件数が依然、高い水準で推移している。二〇〇五年度、福山市など六市町を受け持つ福山こども家庭センターが調査した件数は、二百九十三件。前年度から四十件減少したが、記録が残る一九九〇年度以降で二番目の多さとなっている。同センターは早めの発見と対応が大事を防ぐ鍵とみて、〇五年度から虐待の相談窓口となった市町と連携を一層強める。(山本和明)
虐待の内訳は、殴るけるなどの身体的虐待が百四十二件で48%を占めた。食事を与えないなどの育児放棄(ネグレクト)が百三件、心理的虐待が四十二件、性的虐待が六件と続いた。母親からの虐待が全体の六割を占め、父親からが三割となった。 虐待を受けた子どもの年代別の構成比は、小学生以下が79%で前年度の85%から6ポイント減少。一方、中学生以上が6ポイント増えた。同センターは「中学生以上の子どもが、自ら学校や警察に助けを求めるケースが目立ってきた。子どもたちの虐待に対する意識が高まったのではないか」とみる。 〇五年四月に施行された改正児童福祉法は、急増する児童虐待に地域レベルで対応する狙いで、相談窓口を市町村に広げた。福山市に百九件、三原市に三十件、尾道市に二十件など、六市町で計百九十件の相談が寄せられた。各市町は専門的な判断を仰ぐため、そのほとんどを同センターへ報告、対応策を協議した。市町が単独で対応した軽微なケースは二十三件だった。 同センターは虐待件数の高止まりについて、全国的な虐待事件の表面化を受け、学校や地域に早期連絡の意識が浸透しつつあることも一因と分析。「家庭に身近な市町が一次的な対応を担い、センターが困難な事例を受け持つ役割分担で、虐待の早期発見と継続的な対応を重層的に進めたい」としている。 (2006.6.22)
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