中国新聞


子どものやる気 心に響けば劇的に変化
角谷勝己(鯉城学院学院長)


 中学入試まであと3カ月を切った。志望校の入試説明会で願書を手にした保護者の気持ちは、いやが上にも引き締まる。煮え切らなかったわが子もここまでくればさすがに本気を出してくれるはず。「頑張ろうね!」と励ますとすぐに「うん」という返事が返ってきてひと安心。ところが、残念ながら、情けないことに、子どもの勉強態度は変わらない。もっとも「頑張ろうね!」と言うだけでやるなら、とうの昔にやっている。いったいどうすれば子どもはやる気を起こすのか。

 先日、保護者向けに来年度の入試について説明する中学受験ガイダンスを行ったが、その翌日に受験生だけを集めて話をした。もちろん入試動向のような難しい話ではない。ゴールまで全力で走りきる方法についてだ。

 過去は問わないこと(いまさら言っても仕方ない)、あと3カ月でできること、3カ月必死にやれば合格は可能であること、あきらめずに最後まで努力すること、そのために注意すべきことなど、この時期定番の受験生心得を説く。

 ただ、ひとつだけ心掛けたことがある。それは、子どもたちの頭ではなく心に思いを届けること。頭で論理的にわかるだけでは困難に立ち向かう行動は生まれにくい。大人だって「わかっちゃいるけどできない」という経験は山ほどある。

 だが、もし心に響く感動があれば、頭でわかるよりも心で感じることができれば、行動や態度に劇的な変化を起こすことが可能になる。そう、子どもは理屈ではなく感動でこそやる気を奮い起こす。なのに論理で子どもを動かそうとする大人のなんと多いことか。

 「センセ、ぼくマジでやるよ! 絶対に合格したいから。でもすぐに元に戻っちゃうから、毎日今日みたいに言ってくれたらいいのにな(笑)」。子どもは純粋だ。打てば響くの言葉通り反応が返ってくる。こう言えるようになればもう大丈夫。きっと君は合格できる! うん、マジで!

(2009.11.2)

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