年間1000件の3分の1担う 三原市東町の三原赤十字病院が16日から産婦人科の分娩(ぶんべん)中止を決めたことが明らかになった13日、医療関係者や市民に「市内に十分な出産環境が確保できるのか」との不安が広がった。 同科は10月末に常勤医師2人が派遣元の鳥取大医学部(米子市)に引き揚げられる。同病院はハイリスク分娩に対応するため3人の医師確保に努めたが、1人しか手当てできず当面、妊婦健診などの診療業務に限ることを決めた。 市内で年間約千件ある出産のうち、これまで同病院は3分の1程度を担っていた。市医師会の戸谷和夫会長は「すでに市内の他の出産施設への負担が出始めていると聞く。今後、十分な受け皿を整えられるか心配している」と明かす。 市内で出産できるのは4施設になる。興生総合病院(円一町)の藤原恒太郎院長は「出産が急激に増えれば分娩制限をする可能性もある」。危険度の高い出産は、尾道市にある地域周産期母子医療センターのJA尾道総合病院を紹介するという。 子ども2人を三原赤十字病院で出産した市内の30歳代の病院職員女性は「ほかの病院の待ち時間が長くなるかも」。市内のパート職員女性(41)は「地域で子どもを産もうと思う人が少なくなるのでは」と懸念した。 三原市保健福祉部の松村俊彦部長は「安心できるお産の環境づくりに向け、広島県や関係機関に働き掛け、医師確保などの支援を続ける」と強調している。(鴻池尚、山本庸平) (2013.9.14)
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