無料化で患者減 細菌性髄膜炎の予防接種を受けた子どもの割合が広島県内で、対象となる年齢の子どもの人数の6割を超えた。県内の全市町が順次、2011年から無料の接種を始めたためで、広島市中区の舟入病院では、子どもの髄膜炎患者が減少する効果が上がっている。 予防接種は、原因となるインフルエンザ菌b型(ヒブ)、肺炎球菌の両ワクチンを打つ。接種は任意で、料金は本来8800〜1万1千円程度。数回打つ場合もある。 県内の全23市町は11年1月から順次、2カ月〜4歳に無料接種を始めた。12年3月末までにヒブワクチンは8万8435人、小児用肺炎球菌ワクチンは9万3585人が接種した。県健康対策課の推計では、ヒブが対象者の61・1%、肺炎球菌は64・7%になる。「任意の予防接種としてはとても高い。市町も広報に積極的で、接種率アップは全国でも進んでいる」とみる。 予防接種の効果も認められる。全国的にも子どもの髄膜炎患者を多く診ている舟入病院小児科では、ヒブによる髄膜炎患者は11年6月以降、一人も出ていない。06〜10年は年間平均3・8人だった。 肺炎球菌による患者は年間0〜2人。もともと肺炎球菌による患者は少ないため、同病院だけでは減少傾向が顕著ではないが、全国では効果があるとみられる。兵藤純夫副院長は「接種率が9割を超せば髄膜炎の患者はゼロに近づく」と話す。 厚生労働省は13年度から髄膜炎の予防接種を、BCGなどと同様の定期接種に加え、接種を努力義務とする方針だ。費用を市町が負担する定期接種を無料で実施できるよう、県は国への財政支援を求めていく。(衣川圭) (2012.5.29)
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