尾道市教委に議会反発 尾道市立の中学校に、給食制度の拡充を求める声が市議会などから上がっている。主食とおかずを提供する完全給食の実施率は約17%で、広島県内平均の約67%を大きく下回っている。一方で市教委が、給食が既に全校にある小学校には単独調理場の新設・改修を進める方針を打ち出したため反発が強まった。 14日の市議会予算特別委員会。議論は夜遅くまで及び、一部市議からは「小学校への単独調理場設置にこだわりすぎ」「共同調理場を造れば、数年で中学の完全給食を達成できる」などの声が出た。 市は2012年度一般会計当初予算案で高須小の単独調理場の造成費など約4300万円を計上。しかしそばには給食制度がない高西中がある。市立中学18校のうち、完全給食を実施しているのは向東、百島、瀬戸田の3校だけだ。 市教委は中学の完全給食を推進してこなかった理由について、体格差で生じる食事量の差▽親子のぬくもりを大切にした家庭弁当による教育的効果▽小学校時の食育で基礎的な食習慣や食の知識が習得済み―などを挙げる。 小学校への単独調理場設置の理由については、食育の観点と災害時の避難場所となる小学校に配給センターの機能を持たせるためなどと説明している。 今回、議会からの疑問の声を受け、市教委は献立作成や調理配達を民間に委託するデリバリー方式などを検討するという。佐藤昌弘教育総務部長は「県内平均と比べ低いのは認識している。できるだけ早く対応したい」と話している。(渡辺裕明) (2012.3.16)
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