2011年度に広島県、居住地限定を解消 ▽複数市町が共同運営 広島県は、保護者が利用しやすい病児・病後児保育施設の在り方を探るモデル事業に取り組む。大半の施設は市町から事業委託されているため、保護者は居住市町外の施設に子どもを預けられない場合がある。本年度末から複数市町による施設の共同運営を試み、こうした状況の解消を目指す。 発熱やけが、病み上がりの乳幼児や小学生を預かる施設は、県内14市町に計27カ所ある。定員は各施設2〜10人程度。病院や保育所に併設され、看護師や保育士が常駐する。広島市10カ所、福山市3カ所など瀬戸内沿岸の市部に集中する。 施設の運営費は国、県、市町が3分の1ずつ負担。市町が病院などに事業を委託する。このため、呉市は利用者を原則市民に限るなど地域外の住民の利用を断るケースがある。地域外の子どもを受け入れる施設は、住民より割高の利用料を求めることが多い。 モデル事業では、複数の市町が連携して施設1カ所を設置することを想定。その市町の住民は誰でも利用できるようにする。各市町が利用実態に応じて経費負担し、共同運営のノウハウを蓄積する。 参加市町や事業の詳細は、医師や保育所長たち計6人でつくる検討委員会で決定する。検討委は保護者2千人以上を対象にアンケートをし、病児・病後児保育の改善点を探る。 モデル事業は看病のために休みを取りにくい共働きの家庭を中心に、病児・病後児保育の充実を求めるニーズの高まりを受けて実施する。県こども家庭課は「子育てと仕事の両立には、子どもの急な病気に対応できる施設整備は欠かせない。課題を分析し改善につなげたい」としている。(村田拓也) (2011.8.20)
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