広島の施設スタッフに聞く ■感染防止へ隔離室 / 少人数 慣れやすく 中国地方でも増えてきた病児・病後児保育室。昨年度は五県で計七十カ所が子どもを受け入れ、定着しつつある。ただ初めて預けるときなど、病気の子どもを預ける不安は古くて新しい。九月に三十周年を迎え、延べ二万五千人を預かってきた広島市中区の「さくらんぼ病児保育室」のスタッフたちに不安に応えてもらった。(平井敦子)
どんな症状なら預かってもらえますか。預けて、ほかの子の病気に感染しませんか。 さくらんぼ病児保育室の施設長で住田小児科・内科・アレルギー科副院長の清永ときよ医師(56)は「定員は六人。必ず診察は受けてもらい、感染症を含め症状がひどくても預かれる場合は預かります。預かってからは、一日一度は診察します」。とはいえ、可動式の壁などで仕切って分けられる部屋数は三室のため、感染症に対応できるのは三種類まで。清永医師は「インフルエンザや水ぼうそうなどの子どもを預かってきました。ほかの病気がうつらないとは言い切れませんが、隔離することで感染を防いでいます」と説明する。国の実施要綱では少なくとも隔離室一室の設置が義務付けられている。 毎日通う保育所と違って、たまにしか利用しない病児保育室。慣れなくて泣き続ける子もいるのでは。 「定員が少人数のため、一対一でお世話ができることも多く比較的慣れるのは早いようです」。そう話すのは、さくらんぼ病児保育室で二十五年間、子どもを見ている保育士の梅田豊美さん(46)。一日中抱っこしたり、ずっと話し掛けたり、子どものおしゃべりに熱心に耳を傾けたり。「コミュニケーションの密度は高い。何度も利用するうちに慣れます。ここに来た日の夜に夜泣きをした子もごく少数いますが、多くが取り越し苦労。利用してみて『こんなことなら早く利用すればよかった』と言ってくれる保護者も多いんですよ」 病児保育室を利用してどう感じましたか。 四歳と一歳の息子を昨夏から預け始めた学校事務職員の上田美由紀さん(34)=広島市中区=は「最初は抵抗がありましたが、預けてみると子どもの状態についての連絡が丁寧。肺炎になったときもすぐに病院で手当てしてもらえた。安心して仕事ができます」と感謝する。働く両親の代わりに子どもの面倒を見る祖父母たちからは「孫の病気がひどいと自分たちがパニックになる。医師や看護師が的確に対応してもらえる施設の方がいい」との声もあるという。 不安を抱いている保護者にアドバイスを。 さくらんぼ病児保育室を支える会の事務局長で開設当時から運営を支えてきた小谷恵美子さん(65)は「子どもが病気になりやすいのは保育所や幼稚園に預けた後の一年から一年半。その時期を乗り切れば病気にかかりにくくなる」と言う。育児休暇を終える前など時間に余裕があるときに、近くの病児保育室に見学に行ったり一度預けてみることを勧めていた。 さくらんぼ病児保育室Tel082(249)9302。
(2006.9.4)
|