中国地方2012年春採用 団塊世代退職に対応 サービス・事務は鈍く 中国地方の製造業で2012年春に採用する高校生の求人を増やす動きが出ている。定年延長や再雇用で働き続けていた団塊世代の社員の多くが最終的に退職することに対応するため。一方、サービスや事務系の業種は動きが鈍く、労働局や高校は求人確保に力を入れる。 広島労働局が受け付けた高校生の求人数は6月末時点で前年同期をわずかに上回る。6月20日の受け付け開始の当初は前年を下回っていたが、製造業を中心に盛り返した。 6月末時点の各労働局の高校生向け求人数は、山口が前年同期に比べ約1割増。岡山が約2割増、島根も約3割増となった。一方、鳥取は今月3日時点で約2割減っている。 求人増の理由について岡山労働局は「製造業で定年後も働いていた団塊世代が最終的な退職を迎えるため、補充で採用を増やす動きが出ている」とみる。 JX日鉱日石エネルギー水島製油所(倉敷市)は、高校生の求人数を今春実績の約3倍に増やした。「年齢構成が高くなっており、バランスを取るため」とし、技能伝承も図る。ダイカストなど製造のリョービ(府中市)も今春実績より若干増を検討している。 各高校でも製造業を中心とした求人に手応えを示す。広島市立広島工高(広島市南区)は「自動車関連で増産の動きがあり、求人依頼は前年よりいい」という。岩国工高(岩国市)も「山口県内の製造業者から求人依頼が増えている」とする。 一方、東日本大震災により消費低迷の影響を受ける非製造業は動きが鈍い。広島労働局は「宿泊、飲食、サービスなどの業種が求人を見合わせている」と説明する。 広島県立広島商高(広島市中区)は「サービス、事務系の求人数が少ない」と指摘。全業種の求人数は前年並みだが「経済的な理由で就職希望の学生が増えており、求人確保に向けた取り組みが欠かせない」とする。(畑山尚史)
(2011.7.16)
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