山口のサークル「オヤージュ」半年
山口市内の父親でつくる育児サークル「オヤージュ」が月1回、使われなくなった小学校の施設を使った「子育て広場」を開いている。開設から半年。段ボールを使った工作や水遊びなど、豪快さと手作り感が「売り」のパパ流育児空間が広がっている。(石川昌義) 一軒家の広い庭。2時間かけ、段ボールで組み立てた「お城」が完成した。毎月第4日曜日に開くオヤージュのイベント「papanowa(パパノワ)」。完成した城の中で、複雑に組み上げられた迷路を走り回ったり、丸めた新聞紙で作った「紙のプール」で手足をばたつかせたり…。集まった10組の親子から歓声が上がった。 会場の一軒家は、3月末まで白石小の学童保育室として使われていた。老朽化で移転し、空き家となっていたのを、来春まで市から無償で借りた。今回使った段ボールは市リサイクルプラザから譲ってもらった。費用をかけない、手作りの遊び空間だ。 オヤージュの中心メンバーは、市が昨年開いた「お父さんパワーアップ講座」の受講者。2児の父で市職員の杉田則夫さん(41)が代表を買って出た。 長女(4)の乳児期に9カ月の育児休業を経験した杉田さん。母親が多く集まるイベントに参加すると、必ずこう言われた。「偉いですね」「杉田さんに引き換え、うちの夫は」…。 杉田さんは「付き合い下手な男性は、女性ばかりの空間につい尻込みしがち。のびのびと自分を生かせる場があれば、きっと行きたくなるはず」と広場開設への思いを語る。 毎回のイベントでの遊びは、手作りが基本。野菜運搬用のコンテナとビニールシートで作ったプールには、山で切り出した竹を組んだ「インディアン風シャワー」を設けた。長男(3)を連れた会社員高巣和宏さん(34)は「親子で一緒に作業すると打ち解けやすい。父親の格好いい姿も見せたい」と胸を張る。 オヤージュに集う父親は全員、働き盛り。打ち合わせはもっぱら電子メールだ。「子どもがぐずったらどうしよう」と最初は妻同伴だったイベントも、最近は父子だけで参加する人が多い。長男(3)と参加する県職員久保田尚稔さん(30)は「父親と子どもが本音で向き合える時間って、そうないから」と話す。 頻繁に顔を合わせる関係ではないが、父親同士のきずなは深まってきた。時には居酒屋に集まり、家庭や仕事の話で盛り上がることもある。「母親が中心になりがちの子育てに父親が積極的になれば、妻は楽になるし、自分も楽しい。いいことずくめ」。夫たちの挑戦は、さらに共感の輪を広げそうだ。 (2009.10.6)
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