保護者アンケート ■父親参加へ「お金(経済的支援)と時間(企業への働き掛け)を」 もしあなたが市長だったら、父親が子育てしやすいまちづくりに向け、何に力を入れますか? 広島市内の育児支援グループなどが五月下旬、子育て中の保護者約八百人にアンケートした。多数を占めたのは、経済的支援と企業への働き掛け。お金と時間を―。親たちの声は率直だ。(平井敦子) ■遊び場・保育所充実 4割が訴え
アンケートは、市内の育児サークルの代表らでつくる「子育ておたがいさま〜ズ」や市など四団体で構成する実行委員会が実施。五月下旬に中区であった子育て支援イベントに訪れた保護者七百八十九人が、六項目から二つ選んで回答した。 最も多かったのは、「経済的支援の充実」で64%に当たる五百五人が選択した。四月から三歳未満の児童手当が一律月一万円となり、第一子、二子は従来の月五千円から倍増したばかり。しかし自由に具体的提案を挙げてもらった中では、児童手当拡充を求める意見が依然として多かった。 二番目は「子育て制度の充実と企業への働き掛け」。半数近い三百九十三人が必要と指摘した。具体的には「父親の労働時間短縮と育児休暇を強制してほしい」など、男性が育児のために休みやすい環境づくりを求める声が相次いだ。二年前の育児・介護休業法の改正などにより、制度を設ける企業は多くなったが、利用しているのは一部の大手企業社員や公務員にとどまっている。 続いて、「遊び場など、子育て環境の整備・充実」、「保育所・託児施設などの充実」に力を入れたい人が四割前後に達した。保育所は「入れなくて困っている」と切実な声が多く、遊び場では「男性トイレに、おむつ替えスペースを」との提案が多かった。 ■施策に声生かすには −椙山女学園大 吉田教授 折しも参院選が12日公示、29日投開票と迫っている。「子育ておたがいさま〜ズ」のアドバイザーを務める椙山女学園大(愛知県日進市)の吉田あけみ教授(写真・家族社会学)に、アンケート結果を踏まえ、子育て世代の声を、どうすれば施策に生かせるかを聞いた。(平井敦子) ▽社会で担う体制急務 アンケートでは、経済的支援の拡充を求める声が多いですが、確かに日本は北欧諸国などと比べて、児童手当の金額が低いし、支給要件として所得制限もある。つまり、子どもたちを社会で育てるという理念は、まだ薄い。まず、子育ての主たる担い手が親なのか、社会なのか、という議論が必要です。 父親の育児時間を増やすための、企業への働き掛けの要望も強いようです。これも、社会として子どもを育てていく姿勢が問われる問題です。 さらに、経済的支援の拡充を望むなら、財源が要ります。参院選でも、そのための負担をどうするのか、具体的な論戦に耳を傾けるといいでしょう。子育て支援策はめじろ押しですが、少子化を止めるためだけのゆがんだ支援にならぬよう、監視も必要です。 (2007.7.2)
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