学校別結果開示 影響か 文部科学省の全国学力テストの学校別結果を今月、初めて開示した鳥取県で、公立の小中学校のうち少なくとも7校が、今年4月のテスト直前に補習授業や過去に出題された問題の「練習」など事前のテスト対策を実施していたことが23日、同県教職員組合の調査で分かった。 昨年同時期の調査では実施していた学校はゼロだった。県が昨年11月に開示を決めたことを受けての動きともみられ「本来の授業が遅れた」との報告も上がっている。同教組は「個別データの開示が競争をあおり、教育現場を追い詰めている」と分析している。 調査は4〜5月、県内203の小中・特別支援学校の教職員を対象に実施し、約4割に当たる85校から回答を得た。 このうちの小学校6校と中学校1校は「テスト直前の春休みや新学期初めに前学年の学習内容を復習させた」「前年度の学力テスト問題を印刷し、事前に解かせた」などの対策を実施したと回答。「復習に時間を費やしたので本来の学習が進まなかった」などの報告も上がった。 文科省は「過度の競争を生む」として都道府県別より詳細なデータの開示を実施要領で禁止。だが秋田県教委が昨年10月、埼玉県教委がことし3月、それぞれ自治体名を伏せて市町村別の平均正答率を開示したほか、大阪府教委もことし8月、一部を除いた市町村別のデータを開示している。 こうした中、鳥取県は2008年11月、市町村別・学校別成績を09年度分以降開示すると決定。県情報公開条例改正案を県議会で可決し、今月7日、全国で初めて学校別データを開示した。 同組合の細砂直書記長は「授業を遅らせてまで行うテスト対策は、学力向上につながらず、本末転倒だ」と指摘している。
(2009.9.24)
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