所得要件緩和で倍増 昨年度5県 金額の拡充も寄与
中国地方五県で不妊に悩む夫婦が二〇〇七年度、体外受精などの特定不妊治療の費用を助成する制度を県などを通じて利用した件数が、前年度の約二倍となる三千五百二十五件に上ったことが四日、分かった。所得要件の緩和や助成額の拡充が大幅な伸びにつながったが、不妊に悩む夫婦が多い実態も浮き彫りになった。 県別では、広島千二百九十八件(115・6%増)▽山口五百三十一件(83・1%増)▽岡山九百十八件(81・4%増)▽島根三百五十八件(98・8%増)▽鳥取四百二十件(73・5%増)―だった。 最も利用数が伸びた広島の内訳は、受精卵を子宮に移植する「体外受精」が五百五十七件、ガラス管を使って卵子に精子を注入する「顕微授精」が七百四十一件。助成金を受けた夫婦は計八百九十二組で、半数近くが両方の治療に臨んでいる。 「特定不妊治療支援事業」は国の補助制度で、少子化対策の一環として〇四年度、所得合計が六百五十万円未満の夫婦を対象に、年十万円を上限に助成する形でスタート。費用は都道府県や保健所を設置する政令市、中核市と折半している。 〇七年度からは、所得条件を七百三十万円未満に緩和し、助成金額も年二十万円(一回十万円)に拡充したところ、利用が急増した。体外受精や顕微授精といった特定不妊治療には医療保険が適用されず、費用は一回三十万―四十万円。医療機関によっては約百万円かかるケースもあり、経済的な負担は大きい。 広島県健康福祉局は「潜在的に不妊に悩んでいる夫婦はまだまだいるはず。制度をより活用してもらうため、周知に努めたい」と話している。(門脇正樹) (2008.9.5)
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