ケータイ禁止の新学期 県教委方針徹底せず
▽保護者や生徒 不満の声も 広島県内の公立学校で始業式や入学式があった六日、県教委の指導通知に基づき、校則で携帯電話の原則持ち込み禁止に踏み切る公立高校が相次いだ。一方で方針決定が追いついていない学校も目立ち、保護者や生徒からは不満の声も出た。(永山啓一、加納亜弥) 県教委の指導通知を受け、福山工高(福山市)や宮原高(呉市)が生徒に校則変更を文書で示した。国泰寺高(広島市中区)などは、以前から校則に持ち込み禁止を明記している。 これに対し三津田高(呉市)は「現時点では校内での使用禁止となっている」と説明。県教委や保護者の意見を踏まえ、今後見直しを検討するという。 ▽「連絡に要る時も」 安古市高(安佐南区)は当面、「持ち込みの自粛」にとどめる方針で、これから校則の改定に入る。広島工高(南区)は「保護者と話し合いながら、持ち込み禁止の方向で考えている」とする。 皆実高(南区)は入学式後、保護者向けの説明会を開いた。校内では電源を切る校則だったが、生徒指導の教諭が「校内でもネット掲示板への書き込みで人間関係のトラブルがあった。勉学に集中できる環境を整えたい」と持ち込み禁止に理解を求めた。 説明会後、母親の一人は「校内で使う生徒がどうしても出てくる。一律禁止がいい」と支持した。ある父親は「下校や塾の帰りに連絡が必要な場合もある。本人がけじめをつける問題ではないか」と首をかしげた。 ▽高校生の96%所持 広島市内の高校生からは不満が漏れた。新入生の女子生徒は「遠距離通学で登下校時が不安。友達ともメールしたい」。二年の男子生徒は「校内では先生に預けるなどの納得ができるルールがいいのでは」と要望した。 内閣府の二〇〇七年度の調査では、携帯電話は高校生の96%に普及している。一方で、広島県教委によると、〇七年度に県内の公立学校で発生したネット掲示板での悪口などが原因のいじめは五十六件に上り、前年度比で十六件増加した。 県教委指導三課の藤田美佐子課長は「携帯電話の持ち込み禁止は保護者の理解なしには進められない。学校は、早急かつ丁寧に保護者に説明してほしい」と話している。
(2009.4.7)
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