【論説室から】 「学校に携帯電話は必要ない」。昨年十二月、橋下徹大阪府知事が出したアピールのパンチは相当効いたようだ。賛同の声が広がり、あれよあれよという間に文部科学省が「小中学校への持ち込みは原則禁止」「高校では使用禁止」と、全国の教育委員会に通知を出すまでになった。 有害情報へのアクセス、メールなどでのいじめ、使いすぎによる学力低下―。橋下知事らが挙げる規制の理由は、親の立場からもうなずける。 ただ、大人が「禁止」したからといって、素直に子どもがきいてくれるのだろうか。既に禁止されている長女の通う中学校でも、授業中に着信のバイブ音が響くことがあるそうだ。 学校には持ち込まなくても、子どもたちが家で好き放題にネットに接続したり、メールを送ったりすれば、リスクから守る効果はほとんどない。まず、子どもたちが納得するまで、親が心配な点をきちんと説明することだろう。 小学生の三割、中学生の六割、高校生の九割が携帯を持っているといわれる。携帯には、いつでもコミュニケーションを取り合えるメリットもある。安心して使う方法を、子どもたち自身に考えさせ、ルールを作ってもらうのも一つの手だろう。 あのオバマ米大統領ですら「メール中毒」と自ら認め、手放せない便利なツール。子どもたちにとっても同じだろう。「禁止令」だけでは解決しない。(吉村知子) (2009.2.8)
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