隠岐病院、島内出産再開へ 島根県隠岐の島町の隠岐病院が、常勤の産婦人科医師を確保できず院内出産への対応を断念した問題で、同病院を運営する隠岐広域連合(連合長・松田和久隠岐の島町長)は十三日、十一月から複数の常勤医師の派遣を受けられるめどが立った、と発表した。島根県が新たに医師を確保したためで、島内での出産が再開できる見通しとなった。
県や同連合によると、赴任の内諾を得たのは県外の医師。離島での一人体制では医師の負担が大きく、複数体制の構築が課題だったが、県が医師を確保できたことで県立中央病院(出雲市)が支援体制を組めるようになった。同病院からの派遣も加え、二人体制での常駐を想定している。 十二日夜、医師確保の見通しを県から伝えられた松田町長は十三日、町役場で会見。「島内で安全、安心な体制で出産できることになり、大変うれしい。島民に対し責任が果たせた」と話した。 隠岐病院の後任の産婦人科医師をめぐっては、同町と島根大医学部との交渉で、安来市立病院の医師(62)が一時、赴任の意向を固めたが、支援体制の在り方などをめぐって調整が難航していた。 隠岐病院では、同大からの派遣医師が引き揚げられた後、県立中央病院から臨時的な派遣を受けてきた。しかし、同病院でも医師不足が深刻となり、四月十五日以降の派遣を断念。島で出産を予定していた妊婦は、本土での出産を余儀なくされた。今月十二日までに十九人が松江市などに渡り、七人が出産している。(城戸収) (2006.5.14)
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