産婦人科医着任せず 妊婦への支援検討 産婦人科医師の不足に悩む島根県隠岐の島町、隠岐広域連合立隠岐病院(笠木重人院長、百五十床)は四日、常勤の産婦人科医が確保できるまで同病院での出産を断念することを決めた。年間百数十件の出産を扱う同病院。隠岐諸島の妊婦は、本土での出産を迫られることになった。 同病院は、島根県と隠岐四町村でつくる隠岐広域連合(連合長・松田和久隠岐の島町長)が運営。人材不足などから二〇〇四年九月、島根大医学部(出雲市)が派遣医師を引き揚げて以降、県立中央病院(同)が〇五年三月までの医師派遣を決定。常勤医を確保できなかったため、派遣期間を延長していた。 同連合は一時、関西在住の医師から今春着任する内諾を得ていたが、三月下旬、家族の事情で赴任を断る連絡が入り、断念。県立中央病院も一月、「総合周産期母子医療センター」に指定され、これ以上の派遣延長は困難と判断。県と松田町長らが協議した結果、島内出産を断念した。 四日、同町で妊婦を対象にした説明会を開き、松田町長や笠木院長がこれまでの経緯を報告。今月十五日以降、週一日程度の医師派遣による産婦人科外来を開設するといった診療体制を説明した。 隠岐病院では、十月までに五十人程度の出産が見込まれている。出産の約一カ月前に島外に移る必要があり、妊婦や家族の精神的、経済的負担も大きい。同町などは、宿舎の確保といった支援策を検討するとみられる。 笠木院長は「できるだけ早く常勤医が確保できるよう努力したい」と話している。(城戸収) (2006.4.5) 島根県隠岐の島町の隠岐病院が、常勤の産婦人科医師が確保できず院内出産への対応を断念した問題で、病院を運営する隠岐広域連合は六日、妊産婦の本土での出産に伴う支援策を十日までにまとめることを決めた。支援策は、住居確保による滞在費、交通費を二本柱に最終調整している。 同連合長を務める隠岐の島町の松田和久町長が六日、町議会全員協議会で支援方針を説明した。 支援策は、出産に伴う滞在が一カ月以上にわたることから、同連合が松江、出雲市など出産する病院に近い場所に短期賃貸マンションやアパートなどを借り上げ、滞在費を援助する。本土と行き来する交通費は、本人とともに付き添いや面会する家族分への支給も視野に協議している。 また、妊産婦の精神的な負担を軽減するため、緊急時の対応や家族との連絡、身の回りの世話をする世話人を置くことや、若干の生活費の援助も検討している。 同連合は県と隠岐四町村で構成。支援策は今後、県と同病院がある隠岐の島町で詳細な内容と負担割合を詰め、十二日に妊産婦や家族向けに再度開く説明会で報告する予定にしている。 同病院によると、四月中に出産を予定しているのは六人、十月まででは約六十人。六人は今週末から順次、松江赤十字病院(松江市)や県立中央病院(出雲市)などへ入院するという。(城戸収) (2006.4.7)
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