中国新聞


産婦人科医が赴任保留
隠岐病院 支援体制を不安視


 島根県隠岐の島町の隠岐病院が、常勤の産婦人科医師を確保できず院内出産への対応を断念した問題で、後任候補だった安来市立病院の男性医師(62)が、現地での出産や診療のバックアップ体制の不安を理由に赴任を保留していることが、十日分かった。島内での出産再開への見通しは不透明となった。

 病院開設者の島田二郎安来市長が同日、会見で明らかにした。島田市長によると、島根大医学部産婦人科教授から要請を受け、隠岐病院への赴任の意志を固めた医師は、八日に辞表を提出。六月末に退職、七月上旬の赴任を予定していたが、本土からの医師の支援体制が整っていないことなどを理由に九日、保留を希望したという。

 同市立病院でも常駐の産婦人科医はこの医師だけ。島田市長は「医師が足りないから県内の公立病院間でコンバートする(替える)ことは無策。大学、医学部側との根回しは県にしかできないはずだ」と批判し、県主導の体制整備を求めた。

 支援体制と密接につながる医師の派遣方法をめぐっては、関係機関で協議が難航。産婦人科医の一人体制では負担が大きく、医療事故を回避するためにも、県や隠岐の島町は、医師と関連がある島根大医学部に大学人事として派遣するよう要請。島根大側は内部調整が進まず、結論が出ていないという。

 澄田信義知事は十日の会見で「全力を挙げて島根大に派遣要請をしている。関係者の協議を待ちたい」と述べた。(城戸収、加納亜弥)

(2006.5.11)


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