中国新聞


病児保育施設広がる人件費ネック 利用確保に課題
中国地方自治体、働く女性を支援


   

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福山市中心部にあるいぶき小児科の保育室

 ▽発熱や感染症、一時預かりOK

 急病の子どもを一時的に預かる「病児・病後児保育」「体調不良児保育」に取り組む医療機関や保育所が、中国地方5県で増えている。広島県には現在計32施設あり、13施設だった2004年度の2・5倍になった。育児支援のニーズの高まりを受けた形だが、自治体によっては「利用者が少ない」として医療機関が撤退したケースも出ている。

 県別では、広島県の32施設(うち体調を崩した園児を別室で預かる体調不良児対応保育所が3)と、岡山県の32施設(同16)が並ぶ。島根県24カ所(同3)が続き、山口県と鳥取県は20施設。両県に体調不良児対応保育所はない。

 5県とも増加。その背景を、広島県働く女性応援プロジェクト・チームは「仕事を休めず両親に看病を頼ることもできない子育て層が増え、各市町が医療機関、保育所に実施の呼び掛けを強めた」と説明する。

 ニーズが高まる中、岡山県内の病院や保育所は昨年10月、県病児保育協議会を結成した。施設のスキルアップが目的だ。大学などと連携し、多様な病気の子どもに対する保育技術の研修や施設ごとの運営状況を調べて改善に生かすという。

 協議会長を務める青木内科小児科医院(岡山市南区)の青木佳之理事長は「病児保育の充実はさまざまな職種の女性の活躍を支え、社会全体の活力につながる。関心も高めていきたい」と意気込む。

 ただ課題もある。一つは、住んでいる市町村を越えた利用はできない点。各施設は市町村からの委託料を運営に充てるが、制度上求められる看護師や保育士の常勤雇用などにかかる経費の全ては賄えない点も一つだ。

 利用料で一定の収益がなければ、赤字に陥ってしまう。利用者数は自治体間でばらつきがあり、今年3月には大竹市の病院がコスト負担の重さなどを理由に中止を決めた。

 広島県の同チームは「利用者を一定に確保できるよう、居住市町以外の施設も利用できるような対策を検討したい」としている。(久保友美恵)

(2013.6.20)


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