工期半分、最大43億円節減に 広島県教委は、大規模地震に備えて建て替える予定の県立学校施設36棟について、補強工事で耐震性を確保できるとの見直し案をまとめた。コンクリートの耐震性を測る新たな評価方法を用いることで、補強工事で済むことが分かったという。全36棟を補強工事に切り替えれば、工期を半減、事業費も最大で43億2千万円を削減できる。 県教委によると耐震化が必要なのは、県立高校や特別支援学校の校舎、体育館など418棟(4月1日時点)。県教委は、コンクリート強度の測定で「低強度」だった46棟を含めた74棟を建て替えの対象にしてきた。 ところが、大学教授や1級建築士たちでつくる県建築士事務所協会の評価委員会が昨年4月、新たな耐震評価を公表。低強度のコンクリートであっても、内部に空洞がなければ、補強工事で耐震性を確保できるとの基準を打ち出した。 これを受け県教委は建て替え予定の46棟を新基準で再調査。その結果、36棟のコンクリートには空洞がなく、補強工事で耐震化できることが分かった。36棟を補強工事に変更すれば、1棟の平均工期は14カ月から7カ月に短縮。総事業費も87億3600万円から44億1600万円に減る。 ただ、耐用年数が残り少ない建物などは、建て替えた方が長期的には割安な場合もある。このため県教委は、各棟の耐用年数や工事のコストなどを総合的に検討。来年度中に何棟を補強工事に切り替えるかを決める。県立学校の耐震化を終える目標は、2015年度末で変わらない。 たが、県教委は「国の指標はクリアするので、安全性に問題はない」と強調した。 中国地方の5県教委では、鳥取も広島と同様にコンクリート強度を基に改築か補強工事かを振り分けているが、基準見直しの予定はないという。山口、岡山、島根は補強工事を原則とし、各施設の強度や耐用年数などを総合的に評価して耐震化の手法を決めている。(新本恭子)
(2012.11.23)
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