小中865棟「倒壊恐れ」 文科省全国調査
中国地方5県の公立小中学校の校舎や体育館の耐震化率が、いずれも全国平均67・0%を下回っていることが16日、文部科学省の調査(4月1日現在)で分かった。都道府県別の順位は広島が44位、山口は46位と低迷。震度6強の地震で倒壊の危険性が高いとみられる建物は、5県で昨年より565棟減ったものの、865棟が残っている。 耐震化率は、震度6強を想定した耐震基準を満たしている建物の割合を示す。広島の公立小中学校2581棟の耐震化率は50・6%で、昨年よりは2・1ポイント改善した。山口は48・1%。同じく2・0ポイント向上したが、2年連続で全国ワースト2だった。 このほか、岡山58・2%(34位)、島根60・8%(30位)、鳥取62・9%(23位)。全国では93・4%の神奈川が最高で、90・1%の静岡が続く。 耐震基準を満たしていない校舎や体育館のうち、倒壊の危険性が高く、緊急の耐震改修が必要と診断・推計された建物は、広島286棟、山口222棟、岡山248棟、島根73棟、鳥取36棟。 広島県教委は「中国地方は大地震が少なく危機意識が低かった。取り組みを強化しているが工事には数億円単位の予算が必要で、財政が厳しく進んでいない」と説明する。 中国・四川大地震を受けて昨年6月、倒壊の危険性が高い小中学校施設について、耐震改修の国の補助率が2分の1から3分の2に引き上げられた。さらに国の本年度補正予算には市町村の負担が10分の1以下となる交付金も盛り込まれた。 各県や市町村は交付金で早急に耐震化を進める方針だが、岡山県教委は「一斉に予算化しても耐震診断や耐震設計の技術者が確保できない恐れもある。市町村からは来年度以降の交付金制度の延長を求める声も出ている」としている。 また、文科省は耐震改修の補助対象にはしていない公立高校の耐震化率も発表。広島52・3%(41位)、山口53・7%(40位)、岡山55・3%(37位)、島根50・6%(43位)、鳥取50・6%(43位)で、いずれも全国平均の67・8%を下回った。(永山啓一) (2009.6.17)
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