中国新聞


スーパーと連携し50校が食育PR 広島県内で11月から店にコーナー
栄養教諭のレシピを紹介


 栄養教諭を置く広島県内の小中学校など全50校が11月から、地元のスーパーや大型商業施設と連携し、店舗内に食育のPRコーナーを開設する。栄養教諭が考えた料理のレシピを紹介するなどし、栄養バランスの取れた食生活を呼び掛ける狙い。呉市の吉浦小が始めた活動が好評だったため、広島県教委が呼び掛けて全県に広げる。

 栄養教諭が配置されているのは、民間業者の弁当を利用する熊野町を除く県内22市町の小学校46校、中学校3校、特別支援学校1校の計50校。

 11月から各校区にあるスーパーなどにPRコーナーを常設する。栄養教諭が地元産の農林水産品を使う地産地消などにこだわって考案した料理のレシピを紹介し、調理に必要な食材も置く。

 きっかけとなったのは、吉浦小の栄養教諭が地元の音戸産のしらす干しや旬の野菜を使って考えたみそ汁「元気汁」。手軽さと栄養バランスを両立させたという。

 朝食に提唱し、2007年度から近くのスーパーなどでレシピを配ったところ、朝食の献立に取り入れる家庭が増えた。同時に同小では朝食を取る児童が増えた。本年度は全児童の98・4%で、03年度から12・3ポイント上昇。元気汁は地域のお年寄りや中学生の保護者にも好評という。

 栄養教諭は給食の献立の考案や食習慣の指導を担う。食育に力を入れる県教委は本年度、県内で26人だった栄養教諭を50人にほぼ倍増させ、今後も増員を検討している。

 県教委豊かな心育成課の中村弘市課長は「栄養教諭の専門性を地域に還元しながら食育を進めたい」と話している。(門戸隆彦)


食育 子どもの食生活の乱れや肥満傾向が問題となる中、食に関する正しい知識と食習慣を身につけるのが狙い。2005年には食育基本法が施行。不規則な食事が健康や学力など多くの面で子どもの成長に悪影響を与える点も踏まえ、食育の推進が国や自治体の責務となった。広島県内では昨年度、朝食を食べない割合は小学生で2・9%、中学生が5・4%だったが、県は12年度末に0%に近づけるとしている。

(2012.7.24)


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