県内の学校・保護者らに緊張感 県教委は「自衛」呼び掛け
登校中の児童の集団に乗用車が突っ込む事故が全国で相次いでいるのを受け、広島県内の学校や保護者、見守りボランティアは緊張感と不安を募らせている。運転者の自覚なしには抜本的な防止ができないうえ、道路を安全に改良するのも時間がかかる。県教委は今後、「自衛」を一層呼び掛ける。 「事故が相次ぎ、意識は高まっている」。広島市安佐北区の亀山学区シニアウオーキングパトロール隊の大畠正彦代表(71)は、口を引き結んだ。通学路は歩道幅が狭く、ガードレールの未設置の箇所もある。 地元でも2007年と11年、国道の横断歩道で児童が車にはねられた。「ひとごとではない」と大畠さん。27日も約100人が厳しい表情で登下校する児童を見守った。 2011年5月には福山市で軽乗用車が藤江小児童の列に突っ込み、4人が重軽傷を負った。住民の要望で事故後、通学路にガードパイプが設置された。だが、猛スピードで車が走る状況はいまも変わらないという。 見守り活動をする藤江学区まちづくり推進委員会の作田賢郎委員長(68)は「行政や警察は子どもの命を守る策を最優先に施してほしい。通学路を走る運転手も一層気をつけてほしい」と訴える。 横断歩道やガードレールを通学路に設けるには、時間と費用がかかる。例えば、広島市内で11年度に横断歩道やガードレールの設置が実現したのは計12件にとどまる。 こうした実情を踏まえ、大崎上島町教委は「運転者の意識改革を促すことが次善の策だ」と指摘。県教委は「これまで以上に登校時の安全確保を保護者や地域に呼び掛けたい」とする。呉や東広島、福山市教委はいち早く、学校へ注意喚起の通知を送った。三原市教委は今後、危険箇所の点検を検討している。 (2012.4.28)
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