広島市内173園、市立89園は11% 市予算案、配分ゼロ 12年度、小中や幼稚園優先 広島市内の保育園の耐震対策が遅れている。市立、私立の認可173園の耐震化率は43・4%。特に市立89園は11・2%にとどまる。市は2012年度当初予算案で小中学校や幼稚園の耐震化を進めるが、保育園への配分はゼロ。保護者からは早期の耐震化を求める声が上がる。 保育園は地震防災特別措置法による耐震診断の義務がなく、国の補助制度もない。173園のうち、新耐震基準ができた1981年より前に建てられた99園で耐震改修を終えたのは私立1園だけ。10園は耐震診断をしたが、88園は手つかずの状況だ。 市は、災害時の避難場所になる小中学校や幼稚園の耐震化を優先する構えだ。12年度当初予算案で対策費に約36億円を計上。従来計画より3年前倒しし、市立学校・園施設の耐震化率59・5%を15年度に100%にする。 市財政局は小中学校と幼稚園を優先する理由に、耐震化費用の国の補助率が15年度までかさ上げされることを挙げる。補助のない保育園については「対象施設数が多く計画的に進める必要がある」と述べるにとどまる。 厚生労働省の09年度調査で、18政令指定都市(当時)の耐震化率平均は70・5%。北九州、京都、広島のワースト3が4割前後で群を抜いて低い。トップは川崎市の100%。地震への危機感が強い関東・東海地方の都市が上位に並び、東西の地域格差が目立つ。 広島市公立保育園保護者会連絡会の多田佳代子会長は「自宅より長い時間を園で過ごす園児は多い。乳児は歩いて逃げることもできないのに放置されている」と訴えている。(藤村潤平) (2012.3.8)
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