町、2月下旬にも基本方針
広島県世羅町は昨年4月、町内の小学校10校のうち8校を2校に統合した。閉校した6校の跡地の活用方針は、いずれも決まっておらず、地域の拠点施設を失った住民は早期の活用を訴える。町は今月下旬にも、跡地活用の基本方針をまとめ、新年度から本格的な整備に入る。 閉校した小学校は西大田、津久志、大見、伊尾、東、宇津戸の6校。運動場や一部の施設を除き、現在はほとんど使われていない。校舎の外壁には「ありがとう」「FOREVER(永遠)」などの文字が描かれた横断幕が掲げられている。 閉校した小学校の活用策について、町はこれまでに各地区の住民からヒアリングを数回実施。それぞれの地域では住民が検討委員会をつくり、町外の類似施設を視察するなどして協議を重ねた。 住民が提出した要望書によると、6地区とも小学校に隣接もしくは近くにある自治センターの移転を訴えている。センターはかつての公民館で、町は2008年度から呼び名を変更した。現在は自治組織に指定管理を委ねる。住民は現在より広くて設備が整う小学校跡地への移転で、地域づくりの拠点機能の強化を期待する。 センターにプラスして、西大田地区は世羅郡郷土民俗資料館の移転、大見は食品加工などができる複合施設、伊尾は幅広い世代を対象にしたくつろぎの場、東は農業体験交流ができる宿泊施設などの整備も求めている。 町は専門家を交えて要望の実現可能性や中長期的な展望を調査。建物の改修だけではなく浄化槽や消防設備の整備などが必要となるケースもあり、慎重に検討している。 小学校は学校行事以外に、神楽などの練習場や集会などに活用され、にぎわいの中核だった。跡地が未使用のままの現状に、不安を募らせる住民も多い。旧西大田小学校跡地利活用検討委員会の下原嘉雄事務局長は「閉校後、日増しに地域の活気が失われていると感じる。早く跡地の活用を進めなければ取り返しがつかなくなる」と訴える。 町総務課の山口勝博課長は「長く利用できる施設にするため、将来を見据えた計画が重要となる。計画が固まれば、住民と協働で迅速に活用に取り掛かりたい」と話している。(杉原和磨)
(2012.2.5)
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