中国新聞


広島県立学校の耐震化
15年度末までに前倒し


 広島県は6日、全ての県立学校の建物の耐震化を2015年度末までに終える方針を決めた。市立を含めた県内の高校、特別支援学校の耐震化率は全国で下位に低迷。東日本大震災を受け、27年度末と予定していた完了時期を大幅に前倒しする。総事業費は約380億円と見込み、本年度途中から財源の重点配分に踏み切る。

 県内の高校、特別支援学校の校舎や体育館、格技場のうち耐震化していない建物(募集停止した学校を除く)は475棟ある。県は、災害時に子どもの命を守り、住民の避難所として建物を活用するには早期の耐震化が必要と判断した。

 前倒しに向けて工事手法を見直す。従来は耐震基準が強化された1971年より以前の建物を一律に建て替える計画だったが、一定の強度がある建物は補強工事に切り替える。また、校舎と体育館の工事を優先する。

 これに伴い、総事業費は従来の約620億円から約380億円へ大幅に圧縮される。ただ、県の中期財政健全化計画(11〜15年度)で見込む耐震化費用は約250億円。差額の約130億円の財源確保策を早急に詰める。

 本年度について県は、24日開会の県議会定例会に提出する本年度一般会計補正予算案に、校舎102棟の耐震工事設計費用など関連経費約9億円を盛り込む方針を固めた。

 文部科学省によると、市立を含めた広島県内の学校施設の耐震化率(10年4月1日現在)は、高校が56・3%(全国44位)、特別支援学校は60・6%(46位)にとどまる。

 中国地方の他の4県も高校は山口59・2%(40位)▽岡山59・3%(39位)▽島根58・9%(41位)▽鳥取53・6%(45位)―と低迷している。(村田拓也)

(2011.6.7)


【関連記事】
学校耐震化前倒し 補正9億円 広島県計上 (2011.6.2)
小中6校8棟耐震化 岩国市本年度 (2011.6.4)
島根県立学校 耐震化率75.2% (2011.5.27)
4小中で4棟耐震化 廿日市市教委 (2011.5.6)
耐震化 中国5県進まず 小中865棟「倒壊恐れ」 (2010.5.30)
広島県立校耐震化 74校で緊急対策必要 (2008.9.13)
学校耐震化に公私格差 広島県内 (2008.6.7)



子育てのページTOPへ