排水管 一斉点検へ
広島市安佐南区の新安川で13日未明、祇園小6年の男児3人が遺体で見つかった事故を受け、市は16日、市内で子どもが出入りしそうな排水管の緊急点検をすることを決めた。市内では7年前、佐伯区でも川で深みにはまった男児の死亡事故が発生した。両事故とも普段から子どもが川に入る姿が目撃されていた。ハード面と合わせ、地域全体で水辺の危険から子どもを守る手だてが必要だ。 ■広島市 危険箇所洗い出し急ぐ 安佐南署などによると、亡くなった男児3人は、遺体発見現場から上流の排水管(直径1メートル)をくぐって川に入り、川下に向けて歩いていたとみられる。川底が急に深くなる箇所があり、段差が見えなかった可能性があるという。 ▽佐伯区でも事故 市は16日、市内にある同様の排水管を月内に把握し、安全点検する方針を決めた。また市教委は同日、事故現場の危険性を児童に伝えるよう、祇園小に通知。現場近くの長束、原南の両小にも17日に通知する。 子どもが川に入る姿が目撃されながらも危険性が十分周知されず、水難事故に至ったケースは2004年9月に佐伯区でもあった。 同区楽々園1丁目の岡の下川で、地元の小学1年男児=当時(7)=が亡くなった。同級生と遊んでいるうちに深みにはまったとみられている。当時のPTA役員によると、浅瀬に見えるが、雨水ポンプ場からの排水口付近は水が噴き出されるため川底がえぐられ、3〜4メートルの深さになっていたという。 今も「あぶないよ!川あそび 深いところあり」の大きな看板が現場周辺の2カ所に設置されている。市とPTA関係者が協議して作った。事故以前にも子どもがおぼれる事故が起きたこともあり、周辺には広島県と市がフェンスも設けている。 近くの主婦(76)は「よく子どもが遊ぶのを見かけたが、危ないとは思わなかった。事故後は地域が目を光らせている」と話す。 ▽柵設置求める声 安佐南区の現場では市が15日、「立入禁止」と注意を促す張り紙をした。地域住民から排水管に柵の設置を求める声があり、市は協議を進める。 NPO法人子どもの危険回避研究所(東京)の横矢真理所長は「『今回は特殊な場所で起きた』で済ませず、自分たちの地域をよく見てほしい。子どもと大人とが一緒に意見を出し合って危険な場所を常に変えていくことが大事だ」と話している。(長久豪佑、山田太一、前岡愛) (2011.5.17)
【関連記事】 |