FP講師に教諭向けセミナー 広島
新学習指導要領に「金融教育」の拡充が盛り込まれたのに伴い、広島県内の教諭が指導法を模索している。携帯電話やインターネットの普及で、法外な利用料を請求されるなどの契約トラブルに巻き込まれる子どもが急増する中、金銭感覚の育成の重要性は広く認められるが、経験も教材もない分野だけに、学校現場からは戸惑いの声も上がっている。 「教え方が分からない」。教諭の声に応え、県や日本銀行広島支店などでつくる県金融広報委員会は6日、広島国際会議場(広島市中区)で「金融教育フェスティバル」を開いた。教諭向けセミナーは約40人が参加。ファイナンシャルプランナー(FP)を講師に、携帯電話を教材に使った授業を体験した。 FPは、テレビやカメラなど携帯電話の機能のうち、有料サービスを選び出す課題を与えた。FPは「児童・生徒に契約プランなどを把握させ、決められた金額内で利用計画を立てさせる練習になる。身近なものを教材にしても、金銭感覚が磨ける」と助言した。米国やオーストラリアなど各国の紙幣を並べ、発行国を当てるゲーム感覚の学習も体験した。 新学習指導要領は、小中高校の社会科や家庭科に、生涯を見通した資産管理やライフプランなどについての学習を取り入れるよう求めている。 導入は小学校は2011年度、中学校は12年度、高校は13年度。セミナーに参加した呉市の広高教諭松原茂雄さん(38)は「教材の開発や他の授業時間との兼ね合いに課題がある」と苦労を明かす。 指導法の模索の傍ら、民間との連携は広がってきた。広島銀行が行員を派遣する「出張教室」を、本年度は県内の小学校16校が利用。NPO法人日本FP協会広島支部(東区)から講師を招く小学校もある。 県教委指導第三課の藤田美佐子課長は「学校教育はこれまで、高校卒業までの生活指導に重点を置き、将来の生活力まで考える機会が少なかった」と振り返る。「民間の金融機関が開発した教材には利用しやすいものも多い。業界との連携や教員同士が協力した指導法の研究が必要だ」と話している。(久行大輝) (2010.2.22)
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