中国新聞


「かえっこバザール」人気
リサイクル通じ金銭教育


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「いくらになるかな」。子どもたちはどきどきしながら査定を見守る(庄原市高野町の上高公民館)

 使わなくなったおもちゃや本を持ち寄り、独自の「通貨」を介して交換するイベント「かえっこバザール」。リサイクル意識や節約志向の高まりを反映し、中国地方で広がっている。子どもの金銭教育にもつながると評判だ。(石川昌義)

◇   ◇

 庄原市高野町の上高公民館。段ボール箱いっぱいのおもちゃを抱えた親子連れが次々とやってきた。「これは1点」「きれいに使ってるから3点ね」…。待ち構えた大学生がおもちゃを査定する。

 おもちゃは「カエルポイント」という疑似通貨に交換される。ためたポイントでおもちゃを「買う」だけでなく、おもちゃ運びや査定の手伝いをすると、新たにポイントを手にできる。欲しい物は働いて手に入れる―。労働と報酬の仕組みを実感させるためだ。

 高野町でのイベントを企画したのは、広島女学院大(広島市東区)で地域ビジネスを学ぶ学生たち。3年の賀屋優子さん(21)は「少子化が深刻な過疎地では、年下の子どもにおもちゃを譲りにくい。お金の大切さを知るチャンスにもなる」と話す。

 一人っ子の長男(9)が読み飽きた絵本を提供した主婦栗本寿子さん(39)は「押し入れが片付いて助かる」。3人の子どもと参加した給食調理員盛原みず穂さん(30)は「まだ小遣いを与えてない年代。買い物の勉強になる」。長女奈純ちゃん(6)は、ままごとセットをオークションで競り落とせず悔しそうだった。

 「かえっこバザール」は福岡県在住の芸術家藤浩志さん(48)、容子さん(46)夫妻が2000年に始めた。容子さんは「ごみになる運命だったおもちゃが『かえっこ』で宝物になる。ひと手間加えると、物に新たな価値が生まれる」と強調する。

 資源を無駄にしない発想が共感を呼び、子育てや生涯学習の分野で活動する広島市や福山市のサークルは各地で催しを開く。親子向けの集客イベントとして島根県芸術文化センター・グラントワ(益田市)が定期的に企画するなど、輪が広がる。

 高野町での「かえっこ」には、地元信用金庫の職員や壊れたおもちゃを修理する男性も登場。子どもたちに、お金や物の大切さを繰り返し教えた。余ったポイントは「通帳」に記入され、別のイベントでも使える。もったいないの心が広く伝わっていく。

 三原市の女性グループ「たらの芽」は8月7日午後1時から、三原市城町のサン・シープラザ2階で「かえっこバザールinやっさ祭り」を開く。無料。渾川(にごりかわ)さんTel090(7371)0382。

(2009.7.13)

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