月換算で2000〜5000円支給 中国地方 山陰4市町先駆け
児童扶養手当(最高月額4万1720円)の対象外の父子家庭に向け、独自の手当を新設する自治体がじわりと増えている。世界的な不況が母子だけでなく父子の家計を直撃しているのを懸念。3年間に山陰両県の4市町が始めた。「父子家庭への支援拡充」を掲げる鳩山政権誕生も「追い風」と期待する。 浜田市は4月、子ども1人当たり月5千円の「父子手当」を新設した。子どもが18歳になるまで支給。17世帯が手当を受け取る。 浜田市は基幹産業の水産業が衰退し、建設業も公共事業見直しのあおりを受ける。市子育て支援課の横田良宏課長は「雇用状況の深刻化は大都市とは比較にならない。地方は給与水準も低く、現金給付を求める父親の声は大きい。苦しい財政状況ではあるが、見逃せないと財源をひねり出した」と説明する。 出雲市では住民が行政を動かした。市内のシングルファーザーでつくる「出雲ひとり親の会」の要望を受け入れ、月5千円の「父子家庭児童育成手当」を2008年4月に新設した。 同市は今年7月、島根県市長会を通じて国に対し、「父子家庭の支援拡充」を制度化するよう初めて要望。市少子対策課の児玉宏子課長は「民主党がマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ政策でもあり、一刻も早く実現させて」と訴える。 児童扶養手当は1962年から続く制度。ただ、自民党政権は父子家庭への「拡大」に消極的だった。08年6月、福田康夫首相(当時)は、手当を母子家庭に限定する理由を「母の方が就業状況がより厳しいから」と国会答弁している。 民主党の調査によると、全国で父子家庭への独自手当を導入しているのは、今年1月現在で202市区町村にとどまる。 民主、社民、国民新の連立3党は「父子家庭への児童扶養手当支給」に合意した。中国地方では、合併を機に全域で実施する自治体は7市町あるが、経済的理由を基にした制度新設は山陰の自治体が先駆けとなった。本腰を入れるかどうか、当事者も自治体も注視している。(石川昌義) (2009.9.24)
【関連記事】 |