中国新聞

  ともだちがやってきた ぐるっと広島瀬戸めぐり
ともだちがやってきた

 かぶとは、大竹市かぶ無人島です。

 西側は、山口県になる、つの広島山口両県にまたがるしいです。このに、赤牛のモロ吉が一頭ですんでいました。このにつれてこられたのは一歳になってまもなくのころでした。にはおいしい年中はえていて、納屋につながれることもなく、ったら牛小屋にかけめばいいし、にやってきたころは、モロ吉は大喜びしました。

 には、おいしいのみもあります。何度かは、の弥助さんがやってきて、からだの手入れや小屋掃除もしてくれます。つだけなかなかれにくいのは、岩国飛行基地から飛行機爆音でした。突然朝早ったり、夜遅くにったりすると、びっくりしてそこらじゅうをります。

 そのほかには、ることはありません。それなのに、モロ吉は最近、なんだかそわそわしてれなくなりました。だれか、だちがいてくれたらなあ、といます。毎朝モロ吉は、食事えると、からかって「モウ、モウ」ときました。

 ある、弥助さんがやってきたときも、モロ吉は、浜辺までえにもかないで、モウモウといていました。

 「モロ吉、おまえどうしたんじゃ」

 弥助さんは、鼻面をなで、すじをたたいてめてくれます。

 「ともだちがしいよう」。

 モロ吉のことばは、弥助さんにはじません。いつものように、からだを手入れしてくれると、弥助さんはってきました。

 それから、一週間ほどした天気のよいでした。弥助さんが一頭のめのオキをつれてれたのです。

 「モロ吉、ともだちじゃ。なかよくしてくれよ」

 いはなすじのある赤牛です。オキはつなをかれると、草原しました。

 「なんて気持ちのいいところ!」

 オキは、草原りました。

 「まってくれえ」。

 モロ吉はオキをいかけました。弥助さんは、ってめています。

 こうは岩国です。コンビナートから、があがっています。

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