なぞなぞ屋が出前したみっつめのなぞなぞ。かえるが鏡にうつったら見える。では、カニクイザルが鏡にうつったらどうなるか…。
  かえるが見えるのは、あたりまえのことだけど、ここにヒントがあるのにちがいない、とまおくんは考えた。
 「かえると見える。なんだか似てるな。一字ちがうだけだ。かえるの『か』が『み』になったらみえる」
  あれ? とまおくんは思った。
 「ぼく今、なんて言ったっけ。『かがみ』っていったよな」
  かえるのか≠ェみ≠ノなったら見える。そうか、鏡というのは、「か≠フ字がみ≠フ字になる」ってことなんだ。だったらカニクイザルのか≠ェみ≠ノなると…。
  さてやっと次の木曜日がやってきた。四時になったとたん、チャイムが鳴った。なぞなぞ屋の登場だ。
 「さてさて、先週のなぞなぞはいかがでしたか」
  まおくんは得意満面で答えた。
 「カニクイザルが『か』が『み』にうつったら、みにくいさる!」
  なぞなぞ屋はぎょっとした。
 「あなたはすごい。なぞなぞの達人です。でも、このなぞなぞはかんたんにはとけません」
  そういうとなぞなぞ屋はひとつ、深呼吸をした。
 「私が何かをあなたが知らなければ、私は私でいられます。あなたがそれを知ったとき、私は私ではなくなります。さて、私は何でしょう」
 「ややこしいな」
  たしかにこれはむずかしい。
 「今度こそ、お代をいただきますからね。では来週」
  そういうと、なぞなぞ屋はもういなくなっていた。
 「いったいあの人は何者なんだろう。ま、いいか。なぞなんだから、なぞなぞ屋だもんね」
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