ケガをしたおかあさんのためにお医者さんをよびに行こうと走りだした子象のディオでしたが、きゅうにしんぱいになりました。
なにしろ生まれてから一度も島のそとに出たことのないディオです。島のそとでひょっとしたらこわい目にあうかもしれないとしんぱいでした。
そこでちょうど通りかかったフクロウに、
「フクロウさんおねがいだ。おかあさんがケガをしてたいへんなんだ。きみのかっこいいつばさで、お医者というひとをよんできておくれ」
とたのみました。
「やなこった。そのすごい力でボクの家の木をたおしたくせに」
フクロウはぱたぱたと飛んでいってしまいました。
ディオが歩いて行くとこんどはウサギに出会いました。ディオはまたたのみました。
「ウサギさんおねがいだ。きみのはやい足で、お医者というひとをよんできておくれ」
「やなこった。その大きなからだで、ボクを押しつぶそうとしたくせに」
ウサギもぴょんぴょんとはねていってしまいました。
やっぱりディオは自分で行くしかありません。
島を出るには、舟で海をわたらなければなりません。
ディオは船着き場にいるサルの船長にたのみました。
「サルさんおねがいだ。きみのりっぱな舟で、お医者さんのいる陸地にぼくをのせてっておくれ」
「やなこった。その長いハナでボクに水をぶっかけたくせに」
サルはぷんぷんとおこっていいました。
ディオはこまりました。お医者さんをよんでこなければディオのおかあさんは死んでしまうかもしれないのです。ディオはとうとうなきだしてしまいました。
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