いたずらばかりしているディオという子象がいました。
小さな島でおかあさんといっしょにくらしています。
ディオはまだまだ子供でしたが、島にいるどんな動物よりも大きなからだをしていました。ディオよりも大きいのはディオのおかあさんだけでした。
ディオはおかあさんがそばにいないときは、ごろごろ地面をころがって動物たちを追いだしたり、花や草を押しつぶしたり、木に体当たりしてたおしたりしてあそびます。水のみ場でも、ばちゃばちゃあばれて「わおお」とほえたりします。
だから、ディオには友だちがいません。あんな大きなからだでふみつぶされてはたまりませんから、動物たちはみんなディオを見るとにげてしまいます。
そんなある日、あらしが島をおそいました。
風はディオのほえる声の何百倍もの音をたて、ディオのたおした何百倍もの草や木をなぎたおしてしまいました。
ディオにとってあらしは生まれてはじめてでしたから、おかあさんのそばにかくれてふるえていました。
やがてあらしは去っていきましたが、たいへんなことがおこりました。
風に飛ばされてとんできたふとい棒きれがぶつかって、ディオのおかあさんが大ケガをしてしまったのです。
ディオはせっせとかん病をしましたが、ケガはなかなかよくなりません。それどころか、だんだんよわっていくようです。
ディオは島のそとの陸地にはお医者という人がいて、ケガでも病気でもなおしてしまうといっていたことを思い出しました。ディオはそのお医者という人をよんできて、おかあさんをなおしてもらおうと思いました。しかしディオは生まれてからまだ一度も島のそとに出たことはありません。それでもディオはかけだしました。
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