中国新聞

  その2 あぜコンサート 「続・学校帰りのよっこ」
第2話イラスト

 ビチュビチュ チュビチ…

 つばめたちが苗代をたてよこななめにっている。

 ゲコゲコゲコ……

 かえるもいている。

 カチャカチャ カシャチ…

 これは、ランドセルにさしたそろばんのたまが、くたびにぶつかる。みんなで合奏しているようでおもしろい。

 そうだ、リコーダーもりだして、いまってる『きな古時計』、いてみよ……。

 よっこが、よいことをいついたとちどまったとき、ドンとだれかにぶつかってこられた。

 「わ、っ!」

 よっこは、わずのけぞった。

 「あっ、ごめん!」

 すぐろで、あやまるがした。が、同時に、くで、ドッともしたのだ。

 をねじってみると、空色のスカートのわきがになっていて、もとに、が、半分つぶれてころがっている。

 「ごめーん! でも、よっこでよかったよ。ほんと、わざとじゃないんだ。な? あそこにいるじいちゃんのとこまでげようとしたら、ワラがすっぽぬけちゃって……」

 ひっしに弁解してくるると、ノブヤくんなのだった。

 「あらまあ! こんなによごしちゃって! ごめんねえ!」

 苗代からいでがってきたおばさんのも、もんぺも、だらけだ。ノブヤのげたが、まさか、ろにいたよっちゃんにたるなんていもしなかった。だから、ていたは、ついってしまった――。おばさんのいていると、よっこまでおかしくなってきた。

 「いいっス。いいっス。こんなの、えばでもないっス!」

 よっこは、せてった。

 それから、ノブヤくんのおじいさんが、をかきながらづいてきた。

 「その、おわびのしるしに、よっちゃんにあげよ。一束でも、ここへえときゃ、けっこうふえる。しかも、これは、モチじゃ。にはモチがつけるぞ」

 おじいさんはそう言った。

 「やったァ!」

 こうして、ノブヤくんちのんぼの南東に、約五〇センチ四方分、よっこのさなさなんぼができた。

 よっこは、おしに『きな古時計』を、リコーダーでいて、みんなにかせた。

 プゥ ピープピ ピップピ

 ビチュ ビチュ チ

 ゲコ カッシャ カチャ…

 ま、ってみれば、んぼのあぜオーケストラというところだった。

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