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  その1 コックにへんしん
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 二学期のある日のことです。
 「土曜日に、すすんでじぶんからしていることがあったら、はっぴょうしてみよう」
  シホのクラスの山下先生がいいました。
 「うわばきをあらっています」
 「いぬのさんぽをしています」
  つぎつぎに、手が上がりました。
 「ほう、みんな、なにかしているようだね。じゃあ、じゅんばんにいってもらおうか」
  前からじゅんばんに当たってきて、シホのばんになりました。
 「おひるごはんを作っています」
  シホは、おもわずいってしまいました。ほんとうは、おかあさんのお手伝いをしているだけだったのですが。
 「すごい!」
  うらやましそうなはくしゅがおこりました。
  そんなことがあって、シホは家に帰ると、
 「土曜日のおひるごはん、わたしが作るからね」
 おかあさんにせんげんしました。
 「いいわよ、たすかるわ」
  おかあさんは、よろこんでくれました。
 「ひるごはん、作ってくれるんだって? たいしたもんだ」
  おとうさんも目を細めました。
 「げーっ、しんじられない」
  おにいちゃんのヒロシだけは顔をしかめました。
 「まかせてよ、おいしいもの作るから」
  シホははりきっていいました。
  バンダナをしめて、エプロンをかけて、シホは小さなコックにへんしんです。
 (なにつくろうかな)
  シホはまず、れいぞうこをあけてざいりょうをさがしました。
  キュウリにトマト、バナナとたまご、バターに牛乳を出して、ならべてみました。
 「一時から、サッカーのれんしゅうだから、早くしろよ」
 「だいじょうぶ、いいもの作ってあげる」
  シホはいいアイディアをおもいつきました。
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