その2 きのことり
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おじいちゃんの宝は、家の前に見える岩見山だという。その宝を見に、ぼくとおじいちゃんは岩見山へ行くことにした。
おじいちゃんはコシゴという、ガマであんだ背おいこに、カマをさしこみ、つえを持って歩きだした。
ぼくはタオルを首にかけ、熊よけの鈴をこしにつけて行く。
銀色にかがやくススキの原っぱをすぎると、道は登り坂になり、やがて雑木山へと入っていった。キイーッ、キイ―ッと、するどい声で鳥が鳴く。
「モズという鳥じゃ。なわばりに入ってきたわしらのことをおこっとるぞ」
木もれ日がゆれる道ぞいには、野ぎくやむらさき色のりんどうの花がさいている。
日かげには、やせたきのこがはえている。食べられるきのこをさがそうと、ぼくは目をこらして歩く。
おじいちゃんがつえをふって、「道の右がわが、うちの山じゃ」といった。
まもなく倒れた大きな木に、ヒラタケそっくりのきのこが、びっしり生えているのをみつけた。青いコケでおおわれた木の横っぴらに、三十本くらいはある。
「すごい。おじいちゃん、きのこだよ」
ぼくは宝ものを見つけた気分でさけんだ。
おじいちゃんはふりかえって、
「ああ、それはツキヨダケというどくきのこじゃ」
そういって、一本のきのこをさっとたてに割った。すると柄の下の方に、黒いしみが見えた。
「本もののヒラタケには、黒いしみはないのじゃ。このきのこは、夜になるとかさのうらが青白う光るふしぎなきのこよ」
「それでツキヨダケなんだね」
ぼくはなっとくした。
やがておじいちゃんは、白っぽいかさが重なりあったホンシメジを見つけた。そしてぼくにとらせてくれた。シメジはぼくの手のひらで、ずっしりと重かった。生まれてはじめて、ぼくは自分の手できのこをとった。
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