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  その2 くさのうた
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 きのう、すずめのこどもが、しにました。
  おやどりが、えさをさがしにいっている、ほんのちょっとのまに、すからおちてしまったのです。
  じめんのうえで、つめたくなっている、ちいさいすずめのこどもをみつけて、すずめのおかあさんは、なきました。
  すずめのおとうさんも、なきました。
  にひきの、おやすずめは、こすずめのために、おとむらいをすることにしました。
  こだかいおかのうえの、やわらかいくさはらに、こすずめをねかせて、おとむらいのよういをしました。
  こずすめのまわりじゅうに、いいにおいのする花をしきつめました。
  なかまのすずめたちが、たくさんあつまって、おとむらいがはじまりました。
  みんなは、うたをうたいます。
  おとむらいのうたです。
  …… そらのおひさま、
  ぴちぴちぴ
  このこのそばに、
  ちゅる ちゅるる
  いつもいつでも、
  いてください。…
  おかのうえに、すずめたちのうたごえがひびきます。
  そのうち、すずめのおかあさんは、うたのとちゅうでむねがつまって、うたえなくなりました。おとうさんも、うたうことが、できなくなりました。
  おとむらいのうたごえが、すこしずつちいさくなって、そのうちもうだれもうたえなくなりました。みんな、ないています。
  すると、おかのうえのくさたちが、さわさわさわさわ、すずめのかわりにうたいだしました。
  …そらのおひさま、さらさわわ
  このこのそばにいてください
  いつもいつでも いつまでも
  さわさわ さわわ
  さわさわ さわわ……
  くさのうたをきいていた、すずめたちは、やがてまた、ぴちぴちうたいはじめました。
  ……さわさわ ぴちち
  ……さわさわ ぴちち
  うたは、こすずめのたましいといっしょに、はるかなてんにまで、のぼっていきました。
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