中国新聞

「白いつえのともだち」

  その2 まほうのつえ


第2話イラスト

 となりにひっこしてきたは、のまえにいるマヤにはがつかない。むねまである細長いつえを右足のまえで、左右にふってきはじめた。ゆっくり一歩一歩ふみしめて、自分っている場所をたしかめている。マヤは、はっとした。あの不自由なのだ。

 そのときから、

 「かなちゃん、はかたづいていないから、をつけるのよ」のおかあさんのがした。

 マヤは、いきって大声でいった。

 「かなちゃーん、わたし、となりの

 とつぜんびかけられて、はびっくりしている。

 「えっ? えっ?」

 かなはくるりとうしろをいて、いつえをで、すっすっとすべらせてをかけたマヤのほうへづいてきた。

 「わたしをんだの、だあれ」

 マヤはかきねのあいだからして、かなをにぎった。

 「はじめまして。となりのマヤっていうの。ともだちになって」

 「まあ、うれしい。わたし、四年生よ。マヤちゃんは?」

 「わたしも。でも、ほんとはおねえさんがほしかったな」

 「じゃあ、わたしがおねえさんみたいなともだちになってあげる」

 「えーっ、えないのにだいじょうぶ?」

 「わたしがくときは、このいつえがわたしのになってくれるんよ」

 「へえ、まほうのつえみたい」

 「まほうはわたしがかけるの。わたしがどんなふうに使うかどうかで、ちゃんとけたり、けなかったりするんだもの。でも、このだんちはまだようすがわからないから、ぜんぜんけないけど」

 「じゃあ、からわたしが案内してあげる」

 にもどって、マヤはいそぎでママに説明した。

 「ほんとうにをつけてね」

 水色のぼうしをかぶると、ママのをせなかできながら、かなをむかえにった。

まえのページへ
ひょうしへ
つぎのページへ