その3 リスちゃん
オオカミは、カラスにともだちがいないとおしえられて、しょんぼりしてしまいました。ポトンとなみだがこぼれました。
「カラスくん、おねがいだからオイラのかたにとまっておくれよ。何もしないってやくそくするから…」
オオカミはねっしんにたのみました。カラスはそのようすをみて、ちょっとかわいそうになりました。
「ほんとに何もしないな」
「うん、ほんとだよ」
カラスは枝をとびたつと、オオカミのおしりのほうにおりたちました。
「カラスくん、だいじょうぶだよ、かたまでおいでよ」
こうして、かたにカラスをのせてようやくオオカミはあるきはじめました。
しばらく行くと、コナラの枝の上でドングリをほおばっていたちゃいろの小さないきものがこえをかけました。
「もしもし、お二人でどちらへ」
「ああ、リスちゃんか、おさんぽだよ」
カラスが見上げながらこたえました。
「カラスくん、あれはだれだっけね」
オオカミは、さりげなくききました。
「オイオイ、かわいいリスだよ。でも、いじめちゃだめだよ」
「オイラがリスをいじめていたのかい?」
「そうだよ、おもしろがっておいかけまわしていただろ」
オオカミは、うつむいてしまいました。
「カラスさん、だいじょうぶ? そんなところにのって…」
リスがあきれたように言いました。オオカミは、リスに、したしそうによびかけました。
「リスちゃん、オイラのせなかにのらないかい。いっしょにさんぽしようよ」
リスは、ほおばった口をあけたまま目をパチパチさせました。
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