その2 カラスにあう
「おーい、オオカミ、どうした。げんきがないな」
その声に、オオカミはききおぼえがあるようなきがしました。みあげると、黒いいきものが、高いハンノキの枝にとまってくびをかしげてみおろしていました。
「オオカミってだれだ」
オオカミは、ほえかからんばかりにさけびました。
「あれぇ、あんたオオカミだろ。しってるくせにさァ」
そのいきものは、からかうようにこたえました。
「オイラはオオカミっていうのか」
オオカミは口の中でつぶやきました。
「おまえはだれだ」
「ぼくはカラスだよ。わすれたのかい?」
オオカミは、きづかれないようにおおいそぎで言いました。
「そうだった。おまえはカラスだ」
カラスはいぶかしそうにオオカミをみつめていました。オオカミは自分のことをもっとしりたくて、やさしくたのみました。
「カラスくん、オイラのかたにのっかっていっしょにさんぽしないか?」
「ばかなことを言うな。あんたのかたになんかとまれるものか。パクリとやるにちがいない」
パクリとやるって、オオカミにはなんのことだかわかりません。
「パクリとやるってなんのことだよ。そんなことしないからさ」
「おまえの言うことなんかしんようできないね」
「ともだちになっておくれよ」
カラスは空にむかって、くちばしをパクパクならしてわらいました。
「オオカミ、あんたにともだちなんかいるものか」
オオカミはそれをきいて、びっくりしました。オイラって、ともだちのいないオオカミなんだろうか? オオカミはすわりこんでしまいました。
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