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 風よおいで
  
  3 雪のダンス 
 
  
  朝から、つめたい風がふきあれています。
  真夜中に、リサのへやへやってきた、こがらし一号のすがたが見あたりません。リサは、へやのなかをさがしまわりました。それから、庭に出ました。
 「いやだといったら、ぜったいいやだ」
  
  庭先で、こがらし一号の声がします。
 「おまえたちだけで、行ってしまえ」
  こがらし一号が、居間の出窓の下からさけんでいます。
 「おまえたちが、ひっぱるからリサちゃんのへやの窓からおっこちたんじゃないか」
 「そんなこというなよ」
  キツネの目のこがらしがなだめています。
 「そうだよ。みんなで、ふきまくろうよ」
  タヌキ目のこがらしが、リサをちらりと見ました。
 「だれなの」
  リサは見かえしました。
 「こがらし二号です」
  タヌキ目がいうと
 「ぼくは三号だよ」
 キツネ目がこたえました。
 「おかあさんのびょうきは、どうだった」
  こがらし一号が、リサにたずねました。
 「二か月ぐらい、にゅういんしなくてはいけないの」
 「それは、たいへんだ。そういうわけだから、おれはここにのこるぞ」
  こがらし一号は、二号と三号にいいきかせました。
 「しかたがない。じゃあ、ぼくたちはきみをおいていくよ」
  こがらし二号と三号がさっていくと、雪がちらちら、舞いはじめました。
 「おれは、リサちゃんのおかあさんが、病院からもどるまで、ここにいるよ」
 「ありがとう」
  リサはうれしくなりました。
  こがらし一号が、風のメロディーをかなでると、雪は、あとから、あとから、ダンスを舞いはじめました。
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