中国新聞

風よおいで

  2 こがらし一号


 がはげしくたたきます。ガラスがビリビリをたてました。

「はやく、ここをあけてくれ」

 こがらし一号がさけびます。

 リサはふるえました。 イラスト

 こんなことになるのだったらおとうさんとおかあさんについて病院けばよかったと、おもいました。

 がすこしおさまりました。

「ねえ、なかへいれてよ」

 のそとから、パンダのようなが、のぞきこむようにしてリサをみつめています。こがらし一号にあうなんて、はじめてのことです。

「いっしょにあそぼうよ」

 こがらし一号が、やさしくをかけました。

「わたしをふきとばしたりしない?」

 リサがこわごわたずねると

「ふきとばしたりしないよ。ともだちになりたくてやってきたのさ」

「ほんとうに?」

 リサはいそいで、をあけました。

 へやのなかは、きゅうに、さむくなりました。こがらし一号は、パンダのようなだけで、すがたはえません。へやのなかをとびはねながら、ひとまわりしました。

「ぼくがきたからには、もう、さみしくはさせないよ」

 こがらし一号は、ヒュル、ヒュルとのメロディーをかなでました。たのしいメロディーをきいていると、のそとがすこしあかるくなりました。

「ただいま」

 おとうさんが、病院からかえってきました。おかあさんがいません。

「おかあさんは?」

 リサは、どきどきしながら、ききました。

「おかあさんは、とうぶんのあいだ、病院へ、にゅういんすることになってしまった」

 おとうさんが、おかあさんのようすをはなしはじめたときでした。居間出窓に、なにか「ドサリ」と、ものがおちたがしました。

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