中国新聞

風よおいで

  1 あらしの


 のことでした。

 リサのおかあさんが、きゅうにぐあいがわるくなって、おとうさんと、病院へでかけることになりました。

「リサ、ひとりで、るすばんできるかな」

 おとうさんがききました。

「リサひとりおいてくのは、しんぱいよ」

 おかあさんが、おなかをおさえながらいいました。

 リサは、おかあさんをあんしんさせようとおもいました。

「だいじょうぶ。だって、らいねんは小学生だもん」

真夜中だから、マサトシくんちにもたのめないし。リサ、るすばんたのんだよ」

 おとうさんがリサのかたをたたきました。

「だれがきても、カギをあけたらだめだよ」

 おとうさんはをおすと、おかあさんをにのせてでかけてきました。

 リサは、ほんとうは、いっしょについてきたかったけど、おかあさんのくるしそうなようすをみていると、いいだせませんでした。

 がでてきたのか、があたりました。しばらくすると、電気えました。まっななかで、リサはひとりでいることが、きゅうに、こころぼそくなってきました。ベッドにもぐりこむと、からふとんをかぶって、いつのまにかねむってしまいました。

「オーイ、あけてくれ。あけてくれよ」

 だれかのさけびで、リサはをさましました。

 は、がふきあれていました。ガラスが、ガタガタとなっています。のむこうからきこえました。

「だれ? だれなの」

 リサは、とびおきました。

「おれさまはこがらし一号だ」

 いままでえていた、へやの電気が、ぱっとつきました。

 目玉をぎょろつかせたものが、リサのへやをのぞいています。

ひょうしへ
つぎのページへ