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 おばあさんの古い家
  
  4 きれいにしよう 
 
  
  「じゃあ、さっそくそうじをしようね。まるでおばけやしきみたい
だもんね」
  おばあさんは、エプロンをしめなおすと、はたきと、ほうきとバ
ケツと、たわしとぞうきんを用意しました。
  「さあ、おまえもてつだいなさい」 
   
 ぞうきんをわたされたおばけのオーちゃんは、きょとんとした顔でいいました。
「おばあさん、おそうじってなあに?」
  おばけの世界ではおそうじはしないのです。
 「そうだねえ」
  おばあさんはちょっと考えてから、いいました。
 「いいかい、わたしが『おそうじの歌』をうたうから、いっしょにうたってごらん」
 
くものす さっさ 
ほこりも さっさ 
あっちも こっちも 
ごしごし さっさ 
わたしとおばけが 住むお家
 
 おばあさんのうたにあわせて、オーちゃんも歌をうたうと、いつのまにか、床をごしごしみがいていました。
  あんなにきたなくて、人がすめそうになかった家が、あっというまに、さっぱりとした気持ちのいい家にかわっていきました。
 「おばあさん、おそうじっておもしろいね。でも、なんだかへんだなあ」
  オーちゃんがふまんそうにいいました。
 「へん?」
 「だって、かびやほこりがないもん。それにくものすだってないよ。つまんない」
 「なにがつまんないものか。せいけつで明るくなって、さっきまでのおばけやしきがうそのようだろう」
  おばあさんはまんぞくです。
  そのときです。なまあたたかい風が、ほわ〜と、おばあさんのほおをなぜたかと思うと
 「うらめしや〜」
  といったのです。
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