中国新聞

  (3)ケムムの


 退屈していたケムムはをあげてあたりをみまわし ました。その、ケムムのからだががりました。いてきたにケムムはげられたのです。いてぶく ろをしたは、のようなケムムをってをかしげました。

「おとうさーん、これなあに」

 きものの観察をしていた、くの昆虫館につとめ ているおとうさんは、がさしだしたものをてにこにこしま した。

「いいものつけたね。幼虫だよ」

 おとうさんはからケムムをると、そっとのく ぼみにもどしてくれました。

なの?」

「それはまでのおしみさ」

 ケムムはそれからのあいだ、でじっとしていま した。うつらうつらしていると、どこからかおかあさんのこえてくるようです。ケムムはのあいだじゅう、おかあさんに かれてっているをみていました。

 フキノトウがをだし、春一番きました。

「おーい、ケムム、きてるかあ」

 ひさしぶりのさんので、ケムムはめました。

かくなったからさ、そろそろのぼろうよ」

 のひざしがいっぱいにふりそそいでいます。

「ああ、おなかすいたなあ」

 ケムムはさんのうしろについてエノキのをのぼっていきまし た。ものあいだ、まずわずで、さにえてきたので、 からだはへとへとです。何日もかかって、ようやくほどにたどりつきました。

 それから三日すると、エノキのやわらかい新芽てきまし た。ケムムは夢中でごちそうになりました。ほんとにおいしいは っぱです。茶色だったからだも、やがてもとのしいひすいにも どりました。

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