(2)金ぱつキツネの巻
ウサギのかあさんのつくったケーキをよこどりした金ぱつキツネ
は、鼻歌をうたいながら家でおなべをゆすっていました。
「わたしのケーキを返して」
あとを追ってきたウサギのかあさんが、
キツネの家のまどからのぞ
いてさけびました。
「わたしたちのケーキよ」
子ウサギのミーリも、
かあさんのよこで大声をあげました。
「クリームのうえには、いちごとチョコレートをのっけるの」
子ウサギのリーナは、なきだしそうです。
「そんなもの、のっけるんじゃない」
金ぱつキツネが、どなります。
「それじゃあ、なにがいいのよ」
かあさんが、聞きかえしました。
「油あげさ。しょうゆとさとうであまがらくにしめた、あれだ」
「ええーっ、うそーっ」
ウサギのかあさんの大きな目がおどろいて、
もっともっと大きくな
りました。
「いやだーっ」
「そんなもの、のっけないで」
子ウサギたちも、そろって声をあげました。
「ケーキに油あげは合わないわ。せっかくのケーキがだいなしよ」
かあさんの声がいらいらしています。
「ほら、できた」
金ぱつキツネはおなべのふたを取って見せました。中には、つや
つやときつね色の特大の油あげが一枚入っています。
「やめてーっ。そんなもの、のっけないで」
かあさんが金切り声をあげました。
「うるさいなあ。こんなところじゃおちおち食べてられないや」
キツネがうんざりとした声でいいました。
「しかたがない。茶ぱつタヌキのところに行こう。あいつがのっけ
るのは、きっと天ぷらだぞ」
キツネはケーキをふろしきに包んで、油あげをふくろに入れて、
家をでました。
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