広島県教委が指示 早期の耐震化促す 広島県教委は、県内の公立小中学校の体育館や武道場のつり天井が地震で落下しないよう、耐震性の点検と工事のなるべく早い実施を市町教委に促している。東日本大震災では天井材や照明器具の落下が相次いだ。災害時には地域住民の避難所となる施設も多い。県によると、国が目標とする2015年度中の完了を達成できる見通しという。 県内23市町には公立小中学校の体育館や武道場が813棟ある。屋根からつった天井は114棟で、うち国が早期の耐震化を求める「高さ6メートル以上、面積200平方メートル以上」は11市町の計51棟。三次市の17棟が最も多く、廿日市市10棟、東広島市5棟と続く。 県教委は昨年9月から、11市町教委に耐震性の点検を要請中。改築や補強、撤去をする際は国の財政支援が受けられ、市町の負担は約1割で済む点も強調し、早期の実施を働き掛けている。これまでに7市町教委が計15棟を点検。このうち5市町教委が5棟で耐震化工事をした。 その一つ、広島県府中町の府中小体育館では約千平方メートルのつり天井を、つり下げ鋼材を強化するなどして耐震性を備えた新品に交換する工事が3月末に終了した。事業費1600万円のうち町の負担は200万円。町教委は「避難生活のよりどころとなる施設。安全を最優先し計画を2年前倒した」とする。 一方、未点検の36棟は6市町教委が14年度内に点検し、15年度中に工事を終える予定でいる。 中国地方の他の4県では、山口で134棟が国の求める早期耐震化の対象。これまでに48棟を点検し、うち6棟で対策を終えた。島根は21棟、鳥取は25棟が対象。岡山は今後、早期耐震化の必要な棟数の調査を進める。 広島県内では01年3月の芸予地震で、熊野町の熊野第二小の体育館の天井板が剥がれ落ちた。県教委施設課は「住民の安全を守るため、施設ごとに耐震補強の方法や工程を助言していきたい」としている。(門脇正樹) (2013.8.28)
|