元採用担当者の指導や「技能検定」奏功 広島県高等部 入学者も最多438人 障害者が通う広島県内の特別支援学校高等部の就職者数が今春、初めて100人を突破した。かつては就職率が都道府県で最低になるなど低迷した。県教委が導入した「ジョブサポートティーチャー」や「技能検定」の導入効果が表れた格好だ。就職実績が上がる中、今春は過去最多の438人が入学した。 県教委によると今春、県内16校のうち14校から計101人が就職。前年に比べて19人増えた。卒業生388に対する就職率は26・0%。全国平均の27・8%をわずかに下回ったものの、前年の24・3%から1・7ポイント上昇した。 業種別では「製造」が27人でトップ。廃棄された家電製品から貴金属を取り出す作業の求人が多いという。食品のパック詰めなど「卸売り・小売り」19人▽施設内の清掃業務を中心とした「医療・福祉」14人―と続く。 県内の特別支援学校高等部の就職率は05年度、9・8%(就職者数22人)で全国最低だった。県教委は翌06年度、県内企業の元採用担当者を起用して「ジョブサポートティーチャー」を導入。面接指導や就職先の開拓に当たり、現在は7人が10校をカバーする。 09年度には広島北(広島市安佐北区)と福山北(福山市)の両特別支援学校高等部に、職業実習に力を入れる「職業コース」を開設。11年度からは接客や清掃など5分野で10〜1級を認定する独自の「技能検定」を取り入れ、就職活動に役立てている。 今春、福山北の職業コースを卒業、小型家電リサイクル業などを手掛ける福山市の企業に就職した小山香奈さん(18)=同市=は「清掃や接客技術、あいさつの大切さを学び、就職したい気持ちが強まった」と振り返る。 特別支援学校高等部の入学者数は増加傾向にあり、本年度は5年前の08年度の1・6倍になった。県教委特別支援教育課の山下睦子課長は「就職の実績に対する保護者の関心の高まり」と分析。「企業に技能検定の見学を呼び掛け、生徒の就職をいっそう後押ししたい」と話す。(門脇正樹、久保友美恵) (2013.8.23)
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